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【米国株】配当貴族指数とは?銘柄リスト一覧と過去16年リターンを解説

配当貴族とは?

配当貴族指数はインデックス投資のリターンを長期的に上回ってきたことで有名な株価指数です。

この記事では、配当貴族指数への投資を検討している人向けに

  • 配当貴族指数に選ばれる銘柄の条件
  • 構成銘柄のリスト一覧
  • 配当貴族指数の長期リターン

を解説します。

配当きぞくん

配当きぞくん

配当貴族はスゴいのじゃ。

この記事は、技術評論社から出ている著書の中身をブログ用に見やすく編集したものです。

出版社のご厚意で本の無料公開が実現しました。ぜひ最後までお読み下さい。

この記事を書いた人
ひろめ

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ひろめ

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配当貴族指数とは?

配当貴族指数は、米国株の連続増配銘柄だけを集めた株価指数です。基本的に、25年以上連続増配銘柄だけで構成されています。

正式名称は「S&P500配当貴族指数(Dividend Aristocrats)」といいます。株価指数は、S&Pグローバル社が管理しています。

加重方法均等加重平均
リバランスの頻度1月/4月/7月/10月
算出開始日2005年5月2日

リバランスは年4回

構成銘柄のリバランスは、1月/4月/7月/10月の最終取引日取引終了後に実施することが決められています。3カ月おき年4回の頻度ですね。

指数構成銘柄数をNとすると、各銘柄の割合が1/Nとなるように均等分散されます。リバランスを行う際に基準となる株価は、最終取引日から5取引日前の終値になります。

配当貴族指数のリバランス
  • 実施日:1月/4月/7月/10月の最終取引日
  • 基準株価:リバランス実施日から5取引日前の終値

リバランス実施月の最終取引日から5取引日前の終値によって銘柄ごとの指数組入株式数が決定したあと、最終取引日の取引終了後にリバランスが行われます。

構成銘柄の条件

配当貴族指数には、次のような条件を満たした銘柄だけが指数に組み込まれます。

配当貴族の条件

  • S&P500の構成銘柄
  • 時価総額30億ドル以上
  • 1日平均取引額が500万ドル以上
  • 25年以上連続で増配を継続している

配当貴族指数の増配基準

25年以上の連続増配は、配当権利落ち日(Ex-Date)を基準にした暦年(Calendar Year)の年間配当額が前年より増えているかどうかで判断されます。会計年度ベースの年間配当が増配されているかどうかは一切問いません。

配当貴族指数に採用された銘柄の年間配当が前年以下になったときは指数から除外されます。除外タイミングは四半期ごとのリバランス時に除外されることもあれば、毎年1月の構成銘柄入れ替えで除外されることもあります。

暦年を基準にした年間配当イメージ
暦年(CY)を基準にした年間配当のイメージ

配当貴族指数では、上記のように会計年度と暦年にズレがある銘柄は、暦年の年間配当を基準に増配記録をカウントします。年間配当には定期配当のみが含まれ、特別配当などのイレギュラーな配当は除外されます。

実際に具体例を出して説明しましょう。配当貴族指数の構成銘柄であるカーディナルヘルス(CAH)の会計年度は、7月スタート6月締めとなっていて暦年とズレがあります。

会計年度の配当履歴(CAH)

会計年度1Q
(7-9月)
2Q
(10-12月)
3Q
(1-3月)
4Q
(4-6月)
年間配当
1994年$0.0047 $0.0057 $0.0057 $0.0071 $0.0232
1995年$0.0089 $0.0089 $0.0089 $0.0089 $0.0356
1996年$0.0089 $0.0089 $0.0089 $0.0089 $0.0356
1997年$0.0089 $0.0111 $0.0111 $0.0111 $0.0422
会計
年度
1Q
(7-9月)
2Q
(10-12月)
3Q
(1-3月)
4Q
(4-6月)
年間
配当
1994年$0.0047$0.0057$0.0057$0.0071$0.0232
1995年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0089$0.0356
1996年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0089$0.0356
1997年$0.0089$0.0111$0.0111$0.0111$0.0422

上記は配当権利落ち日を基準にした会計年度の増配履歴です。1995年と1996年の年間配当が同額で増配がありません。すなわち、増配記録が途切れています。

増配開始年は1997年となり、 25年以上連続増配の条件を満たさないことになります。

暦年の配当履歴(CAH)

暦年1Q
(1-3月)
2Q
(4-6月)
3Q
(7-9月)
4Q
(10-12月)
年間配当
1993年$0.0047$0.0047$0.0047$0.0057$0.0198
1994年$0.0071$0.0089$0.0089$0.0089$0.0338
1995年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0089$0.0356
1996年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0111$0.0378
暦年1Q
(1-3月)
2Q
(4-6月)
3Q
(7-9月)
4Q
(10-12月)
年間
配当
1993年$0.0047$0.0047$0.0047$0.0057$0.0198
1994年$0.0071$0.0089$0.0089$0.0089$0.0338
1995年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0089$0.0356
1996年$0.0089$0.0089$0.0089$0.0111$0.0378

一方、配当権利落ち日を基準にした暦年の年間配当では1994年が0.0338ドル、1995年が0.0356ドル、1996年が0.0378ドルとなっていて毎年キッチリ増配されています。

結果として増配開始年が1985年となるため、25年以上連続増配の条件を満たすことになります。つまり、配当貴族指数が採用している増配基準が「配当権利落ち日×暦年」だからこそ、カーディナルヘルス(CAH)は指数構成銘柄になれているわけです。

ちなみに、配当貴族指数と配当チャンピオンでカーディナルヘルス(CAH)の連続増配年数が異なるのは、増配基準日に違いがあるためです。

【増配基準日の違い】

  • 配当貴族指数:配当権利落ち日
  • 配当チャンピオン:配当支払い日

Check 配当チャンピオンと配当貴族指数の違い

配当貴族指数の配慮事項

スピンオフや株式分割された銘柄の扱い

2013年1月1日以降にスピンオフされた銘柄は、スピンオフ前の増配実績がスピンオフ後も割り当てられます。また、スピンオフや株式分割により1株配当が減少しても、分割割合を考慮した配当金が減配していなければ増配実績はそのまま引き継がれます。

スピンオフのルールが適用されて連続増配年数が繰り越された銘柄に、アッヴィ(ABBV)アボット・ラボラトリーズ(ABT)があります。スピンオフ時期はちょうど2013年でした。

ちなみに、スピンオフした連続増配銘柄にはフィリップモリス(PM)アルトリアグループ(MO)もありますが、こちらはスピンオフ時期が2008年だったため増配実績が繰り越されませんでした。そのため、25年連続増配の条件を満たしていない扱いになってます。

銘柄分散の基準

配当貴族指数の構成銘柄数は、最低40銘柄と決められています。もし毎年1月に実施する年次見直しのタイミングで配当貴族の条件を満たす銘柄が40未満になったときは、20年以上連続で増配を継続している銘柄に範囲を拡大することができます。

範囲を拡大したときは、指数構成銘柄が40に達するまで配当利回りの高い順に新規銘柄が組み込まれます。

連続増配年数以外の条件は引き続き残るので、これら条件を満たした銘柄の中から配当利回りが高い順に選択されることになります。

指数構成銘柄が40未満のとき
  • S&P500の構成銘柄
  • 時価総額30億ドル以上
  • 1日平均取引額が500万ドル以上
  • 20年以上連続で増配を継続している

上記条件に拡大しても40銘柄に届かない場合は、連続増配年数を除いた3条件を満たす銘柄のなかから配当利回りが高い順に銘柄分散の基準を満たすまで新規銘柄が組み込まれることになっています。

セクター分散の基準

配当貴族指数にはセクター分散の基準があり、1セクター30%以上になってはならないと決められています。なお、セクター分類は世界産業分類基準(GICS)に従うことになっていて、全11セクターに分類されます。

世界産業分類基準のセクター分類

セクター英語表記
エネルギーEnergy
素材Materials
資本財Industrials
一般消費財Consumer Discretionary
生活必需品Consumer Staples
ヘルスケアHealth Care
金融Financials
情報技術Information Technology
コミュニケーションCommunication Services
公益Utilities
不動産Real Estate

もし毎年1月の年次見直しの際に1セクターの割合が30%以上になったときは、20年以上連続で増配を継続している銘柄に範囲を拡大することができます。

範囲を拡大したときは、1セクターの割合が30%未満になるまで配当利回りの高い順に新規銘柄が組み込まれます。

1セクター30%以上のとき
  • S&P500の構成銘柄
  • 時価総額30億ドル以上
  • 1日平均取引額が500万ドル以上
  • 20年以上連続で増配を継続している

上記条件に拡大しても1セクターの割合が30%以上になるときは、連続増配年数を除いた3条件を満たす銘柄の中から配当利回りが高い順にセクター分散の基準を満たすまで新規銘柄が組み込まれます。

配当貴族指数の銘柄リスト

Ticker企業名セクター
ABBVアッヴィヘルスケア
ABTアボット・ラボラトリーズヘルスケア
ADMアーチャー・ ダニエルズ・ミッドランド生活必需品
ADPオートマティック・ データ・プロセッシング情報技術
AFLアフラック金融
ALBアルベマール素材
AMCRアムコア素材
AOSAOスミス資本財
APDエアープロダクツ・ アンド・ケミカルズ素材
ATOアトモス・エナジー公益
BDXベクトン・ディッキンソンヘルスケア
BENフランクリン・リソーシズ金融
BF.Bブラウン・フォーマン生活必需品
BROブラウン・アンド・ブラウン金融
CAHカーディナルヘルスヘルスケア
CATキャタピラー資本財
CBチャブ金融
CHDチャーチ・アンド・ドワイト生活必需品
CHRWCHロビンソン・ワールドワイド資本財
CINFシンシナティ・ ファイナンシャル金融
CLコルゲート・パルモリーブ生活必需品
CLXクロロックス生活必需品
CTASシンタス資本財
CVXシェブロンエネルギー
DOVドーバー資本財
ECLエコラボ素材
EDコンソリデーテッド・エジソン公益
EMRエマソン・エレクトリック資本財
ESSエセックス・プロパティー・トラスト不動産
EXPDエクスペディターズ・インター ナショナル・オブ・ワシントン資本財
FASTファスナル資本財
FRTフェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト不動産
GDゼネラル・ダイナミクス資本財
GPCジェニュイン・パーツ一般消費財
GWWW.W.グレインジャー資本財
HRLホーメル・フーズ生活必需品
IBMIBM情報技術
ITWイリノイ・ツール・ワークス資本財
JNJジョンソン・ エンド・ジョンソンヘルスケア
KMBキンバリー・クラーク生活必需品
KOコカ・コーラ生活必需品
LEGレゲット・アンド・プラット一般消費財
LINリンデ素材
LOWロウズ一般消費財
MCDマクドナルド一般消費財
MDTメドトロニックヘルスケア
MKCマコーミック生活必需品
MMMスリーエム資本財
NDSNノードソン資本財
NEEネクステラ・エナジー公益
NUEニューコア素材
Oリアルティ・インカム不動産
PEPペプシコ生活必需品
PGプロクター・ アンド・ギャンブル生活必需品
PNRペンテア資本財
PPGPPGインダストリーズ素材
ROPローパー・テクノロジーズ資本財
SHWシャーウィン・ウィリアムズ素材
SJMJMスマッカー生活必需品
SPGIS&Pグローバル金融
SWKスタンレー・ブラック ・アンド・デッカー資本財
SYYシスコ生活必需品
TGTターゲット一般消費財
TROWTロウ・プライス・グループ金融
WMTウォルマート生活必需品
WSTウェスト・ファーマ シューティカル・サービシズヘルスケア
XOMエクソンモービルエネルギー

Check 【配当貴族67銘柄】本日の株価上昇率ランキング&リアルタイム株価チャート一覧

配当貴族指数のセクター分布

セクター銘柄数割合
エネルギー23.0%
素材811.9%
資本財1623.9%
一般消費財57.5%
生活必需品1420.9%
ヘルスケア710.4%
金融710.4%
情報技術23.0%
コミュニケーション00.0%
公益34.5%
不動産34.5%
合計67100%

コミュニケーションサービスセクター以外の10セクターが構成銘柄に含まれています。最もウェイトが高いのが資本財セクターと生活必需品セクターで同率になっています。

配当きぞくん

配当きぞくん

1セクター30%を超えないようにコントロールされているのじゃ。

配当貴族指数は市場平均を上回る

長期リターン比較

下記のグラフは、配当貴族指数とS&P500指数の株価上昇率を比較したものです。配当貴族指数は「SPDAUDP」、S&P500指数は「^GSPC」の株価データを使っています。

配当貴族指数 vs S&P500指数
2008/1/2~2024/1/2

2008年1月2日の終値を100%にあわせて、2024年1月2日までの株価上昇率をグラフにしました。配当(分配)金を含まない純粋な株価どうしの比較です。

グラフを見てもらうと分かるとおり、配当貴族指数がS&P500指数のリターンを上回っています。2008年~2024年の16年間で配当貴族指数は約3.62倍、S&P500指数は約3.27倍という結果になりました。

1年ごとの年次リターン比較

続いて、1年ごとのリターンを年初(終値)と年末(終値)で比較します。配当金(分配金)を含まない株価上昇率になります。

年次リターン(過去16年分)

期間配当貴族S&P500リターン差
2008年-22.96%-37.58%+14.63%
2009年+19.16%19.67%-0.51%
2010年+14.61%11.00%+3.61%
2011年+4.71%-1.12%+5.84%
2012年+12.71%11.68%+1.03%
2013年+26.41%26.39%+0.02%
2014年+14.11%+12.39%+1.73%
2015年-1.41%-0.69%-0.72%
2016年+10.73%+11.24%-0.50%
2017年+18.11%+18.42%-0.30%
2018年-5.31%-7.01%+1.70%
2019年+25.59%+28.87%-3.12%
2020年+5.61%+15.29%-9.68%
2021年+24.90%+28.79%-3.90%
2022年-7.93%-19.95%+12.02%
2023年+5.62%+24.73%-19.11%
平均+9.04%+8.87%-0.08%

過去15年の年次リターンでは配当貴族指数がS&P500指数を年平均0.08%下回っています。年次リターンの勝率は約50%(8勝8敗)で引き分けとなっています。

特に目を引くのは2008年の年次リターン差+14.63%ですね。配当貴族の不況に強い特徴が見て取れます。

配当きぞくん

配当きぞくん

連続増配銘柄は強いのじゃ

ちなみに、S&P500指数を長期的にアウトパフォームしてきたのは配当貴族指数だけではありません

配当王配当公爵もS&P500指数を長期的にアウトパフォームしています。

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