
米国株の25年以上連続増配銘柄には、いくつかの種類があります。
結局のところ、連続増配銘柄のなかで一番いいリターンを得られるのはどのグループなのか気になるところだと思います。
そこで、配当貴族指数、配当王、配当公爵の3グループ+市場平均(S&P500指数)の年次リターンをExcelで計算した結果をご紹介します。比較期間は2008年~2019年の12年です。
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リターン算出条件
まず前提になるのが、リターン算出条件の違いです。配当王と配当公爵が同一条件なのに対し、配当貴族指数だけ少し異なります。
- リバランス頻度(年1回と年4回)
- 連続増配記録がストップした銘柄が含まれていたかどうか
配当貴族指数のリバランスは四半期ごとに年4回実施されています。対して、配当王と配当公爵は年次リターン平均になるため、年1回のリバランスになります。
そしてもうひとつは、生存バイアスがかかっているかどうかの違いです。配当貴族指数は途中で減配された銘柄も除外されるまでリターンに含まれるのに対し、配当王と配当公爵は結果的に連続増配記録を維持できた銘柄だけのリターンを平均したものです。
配当王と配当公爵の平均リターンは、途中で連続増配記録が途切れた銘柄が含まれていないため、そこは差し引いて見る必要があります。
12年リターンの比較
配当貴族指数の株価データが2008年以降しかなかったので、それ以降の年次リターンを比較します。
比較するのは「配当貴族 vs 配当王 vs 配当侯爵 vs S&P500」の4グループです。
2008年1月2日の終値を100%にあわせて、2019年末までの株価上昇率をグラフにします。配当(分配)金を含まない純粋な株価どうしの比較です。

3つの連続増配グループすべてがS&P500指数の株価上昇率を上回っています。2008年~2019年の12年リターンはそれぞれ次のようになりました。
配当貴族 | 配当王 | 配当侯爵 | S&P500 |
---|---|---|---|
2.87倍 | 2.69倍 | 2.55倍 | 2.23倍 |
1年ごとのリターン比較
今度は1年ごとのリターン比較です。毎年年初を100%換算して、年末にどれだけ株価が動いたのかを見てみます。
年次リターン比較
おもしろいことに配当貴族指数、配当王、配当公爵の平均年次リターンはどれも似たような結果になっています。どうやら増配スパンや連続増配年数が長期リターンに影響することはないようです。
年平均リターンの比較
年次リターンをよく見ると2008年のパフォーマンスが市場平均(S&P500指数)と連続増配銘柄(配当貴族指数、配当王、配当公爵)で大きく離れています。
ご存知のように2008年はリーマンショックで株式市場が暴落した異常とも言える1年でした。
未来のことを考えたとき、再度100年に1度と言われたリーマンショック級の暴落が発生しないことも考えられます。
そこで、2008年を除いた2009年以降の10年平均がどうだったかも比較してみます。
平均リターン
上記は2008年を除いた2010年~2019年の10年平均リターンと、2008年を含めた2008年~2019年の12年平均リターンになります。
2010~2019年の10年平均を見ると、市場平均(S&P500指数)と連続増配銘柄との年次リターン差が1%ほどしかないことが分かります。
これはつまり、不況の際の下落リスクは市場平均より低く、景気回復局面では市場平均を若干上回るリターンが得られた結果だと理解することができます。

配当きぞくん
連続増配銘柄はローリスク・ミドルリターンじゃ。
先ほど説明したように、配当王と配当公爵は生存バイアスがかかっているため実際のパフォーマンスはこれよりも落ちます。それに過去の実績が未来を保証するものでもありません。
とはいえ、これだけ長期間かつ大量のデータから有意な差が得られるということは、少なくとも連続増配銘柄への均等分散投資が市場平均のリターンを上回る結果につながることは確かです。
したがって、25年以上連続増配銘柄への分散投資こそが、市場平均を上回る再現性の高い投資手法であると結論づけることができます。
資産運用の知識