米国株ニュースレター配信中

【PM】フィリップモリスは配当の二重課税がほぼゼロの高配当な連続増配タバコ株

【PM】フィリップモリスは配当の現地課税がほぼゼロ

フィリップモリス(ディッカーシンボル:PM)は、米国株でありながら配当の現地課税がほぼゼロという米国株では非常にめずらしい銘柄です。米国株は配当金に対して現地課税10%がかかるのですが、フィリップモリス(PM)は例外ということになります。

米国株の配当金に対する現地課税率

受取配当金=支払配当金×0.9(米国の源泉徴収10%)×0.79685(日本国内の税率20.315%)

配当金に対する現地課税がほぼゼロということは、上記のような配当の二重課税が起こらないことになります。これは所得税を支払っていない主婦(パート)の方や配当金生活を送る人にとって非常に大きなメリットです。現行のNISA口座で保有すれば、配当金はもちろんのこと、株の含み益についても税金がゼロになります。

詳細 配当金生活に米国株は向いてない?配当の二重課税問題は意外に深刻だった

 

【PM】フィリップモリスの売上は米国を除く世界全体

米国での訴訟リスクを回避するためにフィリップモリス(PM)から米国内の事業が分社化してアルトリアグループ(MO)が独立しました。分社化したのは2008年3月のことです。このような経緯があるため、地域別売上高は米国を除く世界全体となっています。

 

タバコの売上は世界的に減少傾向です。フィリップモリスもその影響を受けて、2014年から売上高を落としています。そこで期待されているのが電子タバコ(アイコス)です。成長を続ける電子タバコでどこまで売上を伸ばせるのかが今後のポイントになってきます。

 

   

【PM】フィリップモリスの1株利益(EPS)と配当性向、増配率

2008年~2017年の1株あたりの利益(EPS)と配当性向は、以下のようになっています。アルトリアグループ(MO)と分社化した後の2008年からのデータです。

1株配当は毎年増配しています。アルトリアグループ(MO)と分離してから一度も減配がありません。ですが、問題点もあります。1株利益(EPS)が2013年をピークに下がっているのです。1株利益が下がっているにも関わらず、増配を続けていれば当然配当性向が高くなります。このままの状態が続けば、増配を続けることができなくなる可能性もゼロではありません。

 

9年連続で増配しています。増配率がダウンしたのは1株利益(EPS)が下がった2014年からです。仮に2014年以降もアルトリアグループ(MO)のように1株利益(EPS)が伸びていたら、増配率がこんなに下がることはなかったでしょう。業績さえ回復したら増配率もまた8%程度まで上がることになる可能性は高いです。

 

・四半期ごとの配当金

上記の配当金は1年分の合計額でしたので、四半期配当の増配履歴も載せておきます。増配は毎年9月に発表されていましたが、018年は6月の2Qに増配が発表されています。

 

【PM】フィリップモリスの営業利益率

2008年から2017年の営業利益率は以下のように推移しています。

営業利益率は売上高全体のうち営業利益が何パーセントを占めているかを示した数値です。ちなみに、売上高にはたばこ税も含まれています。

 

ここ10年の営業利益率を平均すると15.9%でした。フィリップモリスからスピンオフしたアルトリアグループ(MO)が平均30%でしたので約半分ということになります。同業のブリティッシュアメリカンタバコも10年平均が30%近くあります。

 

ただし、営業利益率15%というのは決して悪い数字ではありません。今後は紙巻タバコの値上げとiQOS(アイコス)の売上アップで利益率が上がっていく可能性も十分あります。

 

   

【PM】フィリップモリスは債務超過

債務超過とは

企業が所有している資産の合計額よりも負債(いわゆる借金)の合計額が上回っている状態を言います。自社の資産をすべて売り払っても借金を返しきれない状態です。

ご覧の通りBPS(1株あたりの純資産)がマイナスになっています。

借金の利子より配当利回りの方が高いため、借金の返済をせずに自社株買いを実施した方が経営効率がいいという判断です。積極的に自社株買いをした結果、債務超過になっています。

 

米国企業はこうした自社株買いによる債務超過はめずらしくありません。例えば、マクドナルド(MCD)コルゲート・パルモリーブ(CL)も似たような状況です。債務超過と聞くとあまりいいイメージではありませんが、本業の収益をしっかり出したうえで自社株買いを積極的に行った結果であれば、そこまで心配する必要はありません。

 

その証拠に債務超過になってからも長期格付けは高水準を維持しています。

格付け会社格付け
S&PA(上から6番目)
ムーディーズA2(上から6番目)
フィッチレーティングA(上から6番目)

 

【PM】フィリップモリスの発行済株式数と自社株買い

フィリップモリスの発行済株式数と自社株買いの割合は以下の通りです。

2014年までは順調に自社株買いを実施して発行済株式数を減らしています。ところが、2015年以降は発行済株式数が横ばいで自社株買いが実施されていません。業績が伸び悩んでいて自社株買いをする余裕がないのだと推測します。

 

【PM】フィリップモリスの株価チャート分析

アルトリアグループ(MO)と分社化した後の2008年4月~2018年2月までの長期チャートです。

株価102ドルと75ドルのところに点線を引きました。この2つは分かりやすいサポートラインになってますね。チャートを見てもらうと分かる通り、株価102ドルのところは2016年に何度も押し返されてきた抵抗線になっています。かなり意識されてきたところですので、買いタイミングのひとつになると思います。102ドル付近で反発して上へスルスルと上がっていくということも十分考えられますね。

株価102ドル
EPS(2017年実績)3.88ドル
PER(2017年実績)26.29倍
1株配当4.28ドル/年
配当利回り(税引前)4.19%
配当支払い月1月/4月/7月/10月
増配発表毎年9月の決算

 

・市場平均との比較(9年チャート)

スタート地点を100に合わせて期間9年で比較しました。フリップモリスのスピンオフが2008年3月でしたのでキリのいい2009年からスタートさせています。比較したのはS&P500指数そのものです。配当および分配金は考慮されていません。

 

フィリップモリス(PM)S&P500指数
2.43倍(税引前)2.97倍(税引前)

純粋な株価で比較すると、フィリップモリスが2.43倍、S&P500指数が2.97倍という結果でした。フィリップモリスは高配当の連続増配銘柄なので配当も無視できません。次に受取配当を比較します。

 

フィリップモリス(PM)S&P500指数  
70.34%(税引前)36.86%(税引前)

この利回りは9年分の合計配当を取得株価で割ったものになります。要するに、9年の配当だけでどれくらいリターンがあったかの割合です。フィリップモリスを9年保有することで得られる配当利回りは税引前70.34%でした。S&P500指数を9年保有することで得られる配当利回りは税引前36.86%でした。

 

したがって、配当を考慮したトータルリターンは以下のようになります。

フィリップモリス(PM)S&P500指数  
3.13倍(税引前)3.34倍(税引前)

 

というわけで、2009年~2017年の期間だとフィリップモリス(PM)は市場平均S&P500にトータルリターンが負けているという結果になりました。バンガード・S&P500ETF(VOO)の経費率は年0.04%ですので、それを考慮しても上記の差は埋まらないですね。

 

【PM】フィリップモリス銘柄分析まとめ

1957年~2003年に配当再投資を行った場合、投資リターンが年利19.8%の成績で1位だったのがフィリップモリスでした。このことはジェレミーシーゲル博士の「株式投資の未来」に書かれているため、フリップモリスを「シーゲル銘柄1位」と呼んだりもしますが、アルトリアグループ(MO)と分社化する前のことなので厳密には今のフィリップモリスとは異なります。

ここ数年の業績は伸び悩んでいるものの、株価はそれほど下がっていません。PERが25倍前後、配当利回りが4%代前半と、それほど割安感がありません。このタイミングで購入して配当再投資を続けたとすると、そこそこのリターンは期待できると思いますが、市場平均を上回れるかどうかは怪しいかもしれません。

 

業績が伸び悩んでいるにも関わらず割安にならないのは電子タバコ(iQOS)の期待が大きいのと、シーゲル銘柄1位という過去の輝かしい実績があるためだと思います。長期投資家がひたすらホールドを続けていて売却しないため、株価が割安になりづらいのでしょう。フィリップモリスのことですから大丈夫だと思いますが、万が一電子タバコが何年か後に期待されていたほど伸びずに終わってしまったときが少し心配です。

 

ただ、フィリップモリスは経営効率の高い素晴らしい銘柄なのは間違いありません。そのため、今後何らかの要因で株価が急落して割安と判断できる状況になったら積極的に買い出動したい銘柄です。買いの目安として配当利回り5%は最低でもほしいところです。