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バリュー投資のやり方とは?優良株が割安になるときの見分け方を解説

【バリュー投資】成功の秘訣

バリュー投資は、リスクを抑えて安定した投資リターンをあげるのに最適な方法の1つです。この記事ではバリュー投資の成功に欠かせない本質思考と優良米国株が割安になるときの見分け方について解説します。

定量的な数値をもとにバリュエーション判断を行う割安株の見分け方は、理論的かつ実用性の高い内容になってます。ぜひ参考にしてみてください。

この記事は、技術評論社から出ている著書の中身をブログ用に見やすく編集したものです。

出版社のご厚意で本の無料公開が実現しました。ぜひ最後までお読み下さい。

この記事を書いた人
ひろめ

複利のチカラで億り人

ひろめ

プロフィール

個人投資家/ブログで無料公開した米国株の著書が累計1万部突破/日本で初めて連続増配株の定義を明確に説明した本の著者プロフィール詳細運営ポリシー

バリュー投資の本質

株価はあなたが払うもの。価値はあなたが得るもの。(Price is what you pay. Value is what you get.)

-ウォーレン・バフェット

ウォーレン・バフェット氏やベンジャミン・グレアム氏など、数々の偉大な投資家がバリュー投資の手法を使って成功を収めてきました。この事実から分かるようにバリュー投資が長期投資で有効なのは歴史が証明しています。

株価と価値は必ずしもイコールではありません。むしろ株価というものは上がり過ぎたり下がり過ぎたりしやすく、本来の価値と乖離することが多々あります。

バリュー投資の本質は、株価と価値が乖離したときを狙って投資することです。本来の価値より株価が下がっているときに投資することでリスク<リターンの投資を実現します。

【バリュー投資の本質】

  • 「株価<1株当たりの価値」のとき購入する

割安な株価で購入できれば、それだけ期待リターンが高まります。「損失リスク<期待リターン」の差が大きくなればなるほど勝率が上がるわけですね。

もちろん1株当たりの価値を見誤ることは誰にでもあります。現実問題として「購入株価<1株当たりの価値」の投資を100%実現することは不可能です。世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏でさえ過去の投資判断で間違いがあったことを認めています。

バリュー投資は「今の株価が割安“だろう”」という銘柄に繰り返し投資することです。複数の割安株に分散投資することで長期的なトータルリターンが本来の価値に落ち着いてきます。価値判断の正解率が高ければ高いほど、最終的なプラスリターンが高くなる傾向にあるのがバリュー投資の本質部分です。

複数銘柄に分散投資を行うことで長期的なトータルリターンが本来の価値に引き寄せられます。結果的に価値判断の精度が高ければ高いほど、最終的なプラスリターンも高い傾向にあるというわけですね。

バリュー投資の難しさ

PERなどの基本指標を使ったバリュエーション判断は誰もが知っていることです。では、なぜバリュー投資を実践する個人投資家の多くが市場平均をアンダーパフォームするのでしょうか?

シンプルに1株あたりの価値を見誤るからですね。本来の価値より株価が高いときに購入し、安いときに売却してしまうのす。

イメージしてみてください。本来の価値より割安な株価で購入するということは、世の中がその銘柄に対してそれだけ悲観的な状況です。

そのようなときに、この銘柄は割安でいずれ業績は回復すると信じて購入しなければなりません。

実際にやってみると分かりますが、なかなかに勇気のいることです。平凡な個人投資家が割安株を購入する心理的なハードルは思いのほか以上に高かったりします。

仮に割安な株価で購入できたとしても、それはダウントレンドの株に逆張りで突っ込んでいくようなものです。買ってすぐ含み損を抱えることも珍しくありません。

ジワジワと下がり続ける株価が次第に自信を失わせ、株価が本来の価値より低いときに損切りしてしまうパターンはよくあります。

バリュー投資の失敗パターン

  • 1株あたりの価値を見誤る
  • 本来の価値より高い株価で購入する
  • 本来の価値より安い株価で売却する

バリュー投資を成功させるには本質を頭で理解するだけでなく、ブレない投資の軸が必要不可欠になります。たとえ含み損が発生しても、一貫した投資行動でブレることなく保有し続ける忍耐力が求められるわけですね。

バリュー投資のデメリット
  • 投資行動の一貫性(逆張りの精神)が求められる
配当きぞくん

配当きぞくん

教科書通りにバリュー投資を実践するのは意外と難しいのじゃな。

一方で、バリュー投資には次のようなメリットがあることもまた事実です。

バリュー投資のメリット
  • 損失リスクを抑えられる
  • 市場平均より高いリターンが期待できる

バリュー投資のメリットはリスクを下げられることです。インデックス指数が割高なときでも個別銘柄なら割安株を探して購入することができます。

すでにバリュエーションが割安であるため、株価が下がったとしても大きな損失には繋がりにくい傾向があります。

それだけではありません。バリュー投資はローリスクなのにインデックス投資のパフォーマンスを長期的に上回ってきた実績があります。

過去の偉大な投資家たちがバリュー投資で大きな成功を収めてきたのは疑いようのない事実であり、必然の結果なのです。

バリュー投資の対局にあるグロース株投資は、確かにうまくいけば短期間で大きなリターンを得ることができる反面、常に大きな損失リスクと隣り合わせでもあります。

市場から高い成長率が期待される割高株は、業績の成長速度が鈍化するだけで株価が急落することも珍しくありません。

世の中には大きなリスクを取れない個人投資家が大勢います。特にサラリーマン投資家は、大きな損失を出してしまうと給与でカバーできないほどのダメージを受けてしまいます。

そんなリスクを取れない個人投資家こそ、米国優良株のバリュー投資を実践してリスクを抑えながら市場平均を上回るパフォーマンスを長期的に上げ続けてほしいと思います。

Check 【ポートフォリオの作り方】正しい運用ルールが安定したリターンをもたらす

バリュー投資のやり方

人は状況によって物事の判断基準がブレてしまいがちです。そこで役に立つのが定量的なバリュエーション判断です。

定量的なバリュエーション判断とは、過去データの分析結果と現在の指標を銘柄ごとに数字で比較することです。数字として見ることで現在の株価がどの程度割安なのかを理論的に判断します。

事業内容や業績の安定性などによって割安の目安になるバリュエーションは異なります。同じバリュエーションでも銘柄ごとに割安割高の判断基準を変える必要があるわけです。

たとえば、需要が安定していて将来が読みやすい業種の銘柄はバリュエーションが高めに推移しやすく、一見そこまで割安でないように見える指標でも実は割安だったりすることがあります。

バリュエーションの判断材料として代表的なものにPER(株価収益率)があります。一般的にPERが15倍以下であれば割安と言われますが、実際はPERが15倍以下だから安易に割安と判断するのは危険なことです。

銘柄ごとにバリュエーションの目安は異なりますから、一概に同じ基準で判断すると本来の価値を見誤ってしまいます。割安株に投資をしたつもりが「リスク<リターン」の投資になっておらず、知らず知らずのうちに大きなリスクを取ってしまうことも考えられます。

どんな状況でも常に定量的なバリュエーション判断ができれば、あとは機械的に動くだけで一貫した投資行動が実現できます。結果的としてバリュー投資が成功しやすくなるわけですね。

優良米国株が割安になるときの見分け方

個人投資家が割安株を見抜く現実的な方法はズバリ、過去のバリュエーション推移(PER、PSR、PBR、配当利回りなど)を銘柄ごとに集計・分析することです。銘柄ごとに割安なバリュエーションを見極めるには、過去データの集計・分析が欠かせません。

バリュエーション判断の指標

  • PER(株価収益率)
  • PSR(株価売上高倍率)
  • PBR(株価純資産倍率)
  • 配当利回り&配当性向

過去のPERやPSR、PBR、配当利回り推移をもとに、四分位数を使って銘柄ごとの割安なバリュエーションを算出します。

四分位数を使ったバリュエーション判断

四分位数は次の種類に分かれています。

四分位数の種類
  • 第一四分位数:最小値から25%の位置にある数
  • 第二四分位数(中央値):最小値から50%の位置にある数
  • 第三四分位数:最小値から75%の位置にある数

第一四分位数は、データを小さい順に並べたときに最小値から数えて4分の1(25%)の位置にある数のことを言います。

第二四分位数は中央値のことで、データを小きい順に並べたときに最小値から数えて2分の1(50%)の位置にある数のことを言います。

第三四分位数は、データを小きい順に並べたときに最小値から数えて4分の3(75%)の位置にある数のことを言います。

四分位数

例えば、7日間のPERが上記のようなケースだとすると中央値が12倍、第一四分位数が10倍、第三四分位数が14倍になります。

配当きぞくん

配当きぞくん

第一四分位数と第三四分位数は、前半データと後半データの中央値でもあるのじゃ。

四分位数を使ったバリュエーション判断のメリットは、論理的な判断が行える点にあります。指標ごとに過去の長期データから割安な数値を求めることで、感情に左右されない一貫性のある投資判断が実現しやすくなります。

一方、この方法のデメリットはデータ分析に時間と手間がかかることです。そこで、少しでも負担を和らげるために、優良米国株のデータ分析結果をブログ内で確認できるようにしました。

Check 「米国株の銘柄分析」一覧ページ

こちらのカテゴリーでは米国株の25年以上連続増配銘柄が100種類以上揃っています。気になる銘柄があるときは、まずこちらを見ることで分析結果を楽にチェックできます。

配当きぞくん

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PERを決める2つの要素

「PER=株価 ÷ EPS(1株あたり利益)」であるため、PERは株価とEPSという2つの要素で決まります。

PERを決める2つの要素
  • 株価:株式市場の取引時間中に変動
  • 直近1年のEPS:四半期決算ごとに変動

上記2つの最新データは、それぞれのペースで別々に動きます。そのため、株価が上がってPERが下がることもあれば、株価が下がってPERが上がることもあります。単純に株価下落=割安、株価上昇=割高というわけではないんですね。

たとえば、決算発表で株価が5%下がったとしても直近1年のEPSも5%下がったのであればPERは変化なしです。一方、直近1年のEPSに変化がなくて株価が5%下がったときは、株価が下がる前より5%割安になったと判断できます。

PSRを決める2つの要素

PSR(株価売上高倍率)は売上高を基準にしたバリュエーション判断の方法なので、利益が出てない銘柄にも使うことができます。長期的に安定した利益が出てない銘柄は、PERよりPSRを使ってのバリュエーション判断が有効になります。

「PSR=株価÷SPS(1株あたり売上高)」であるため、PSRは株価とSPSという2つの要素で決まります。

PSRを決める2つの要素
  • 株価:株式市場の取引時間中に変動
  • 直近1年のSPS:四半期決算ごとに変動

上記2つの最新データは、それぞれのペースで別々に動きます。そのため、株価が上がってもそれ以上にSPSが上がればPSRは下がりますし、株価が下がってもそれ以上にSPSが下がればPSRは上がります。PERと同じ理屈ですね。

PBRを決める2つの要素

「PBR=株価÷BPS(1株あたり純資産)」であるため、PBRは株価とBPSという2つの要素で決まります。

PBRを決める2つの要素
  • 株価:株式市場の取引時間中に変動
  • 直近1年のBPS:四半期決算ごとに変動

上記2つの最新データは、それぞれのペースで別々に動きます。PER/PSRと同じ理屈ですね。

配当利回りを決める2つの要素

連続増配銘柄は減配リスクが低いこともあり、配当利回りが意識されて株価が反発するケースが散見されます。そのため、配当利回りから割安/割高な株価を判断するのが有効な場合もあります。

「配当利回り=DPS(1株あたり配当)÷株価」であるため、配当利回りは株価とDPSという2つの要素で決まります。

配当利回りを決める2つの要素
  • 株価:株式市場の取引時間中に変動
  • DPS:増配/減配のたびに変動

上記2つの最新データは、それぞれのペースで別々に動きます。連続増配銘柄には減配がないので「配当利回り下落=株価上昇」とシンプルに捉えることができます。

増配されたら同じ株価でも配当利回りは上がるので、「配当利回り上昇=株価下落」とならないこともあります。

配当性向を決める2つの要素

割安な連続増配銘柄を購入するときに確認しておきたいのが減配リスクの高さです。株価が下がって割安な状態というのは往々にして業績が下がっていることが多いため、購入前に減配リスクが高くないかチェックしておく必要があります。

「配当性向=DPS÷EPS」であるため、配当性向はDPSとEPSという2つの要素で決まります。

配当性向を決める2つの要素
  • DPS:増配/減配のたびに変動
  • 直近1年のEPS:四半期決算ごとに変動

上記2つの最新データは、それぞれのペースで別々に動きます。配当の原資はEPSであるため、EPS成長率より増配率が高いと配当性向は上昇します。

配当性向が上昇し続けてしまうと長期的に増配を継続するのが難しくなってしまうため、連続増配銘柄はEPS成長率が停滞すると増配率も低く抑えられる傾向にあります。

重視すべきはトータルリターン

株価上昇率と受取配当金を合計したものがトータルリターンです。株式投資の運用成績とも言えますね。

トータルリターン

株価上昇率と受取配当金をあわせたリターンのこと

連続増配銘柄は減配リスクが低いため、どうしても配当利回りに注意が向きがちです。しかし、いくら配当利回りが高くても、それ以上に株価が下がれば結果的にトータルリターンはマイナスになってしまいます。

トータルリターンを決める本質的な要素は株価のバリュエーションになります。株価が割安であればあるほど、期待できるトータルリターンは高くなるわけですね。バリュー投資は投資対象の中から最も割安な銘柄を購入できるかどうかがポイントになります。

複数の指標から総合的に判断する

株価のバリュエーション判断で大切なことは、複数の指標から総合的に判断することです。

例えばPER、PSR、PBR、配当利回りの各指標すべてが、過去10年で最も割安な水準になっていたら明らかに株価は割安だと判断できますよね。このように複数の指標で明らかな割安水準といえる銘柄に分散投資することがトータルリターンの最大化につながります。

米国株には25年連続増配銘柄が130銘柄以上ありますから、どんな状況であったとしても明らかな割安株を見つけ出すことは決して難しくありません。優良で割安な銘柄に投資できる環境が米国株には整っています。

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