暴落だって意外と平気!リーマンショックで強さを見せた銘柄たち

暴落のタイミングは誰にも分からない

前回の暴落(リーマンショック)から8年以上が経過し、そろそろ暴落が起きても不思議ではない時期に入っています。

こうした状況ですから暴落が起きてから株を買おうと現金を握りしめて、ひたすら暴落を待ち続けている投資家の方も多いと思います。

確かに暴落を待つことも間違いとは言えませんが、問題なのは次の暴落がいつ起きて株式市場がリセッション入りするか誰にも分からないということです。

暴落が1か月後なのか1年後なのか5年後なのか分かれば、ピンポイントでそのタイミングに合わせて株を売買すればいいのですが、そのタイミングは誰にも分からないと言っていいでしょう。

もしこのまま株式市場が堅調に推移し続けて、暴落が5年先まで起きなかったと仮定すると、今すぐ投資を始めた方が5年後の暴落後よりリターンが大きくなる可能性があります。

個人的に気になったので、以下の記事で具体的なシミュレーションをしてみました。

暴落前に投資?暴落後に投資?どっちがオトクかシミュレーションしてみた
投資家たるもの暴落局面で自分の資産が毎日のように減っていくなんて経験は、避けて通りたいですよね。ですが、暴落が発生するタイミングなんて誰にも...

次の暴落が来るまで恐くて株を買えないという人たちにとっては、暴落が起きても起きなくても手堅くプラスリターンを得られる銘柄があるとすれば、少しずつでも買ってみようと思えるのではないでしょうか。やはり株式を保有している期間が長ければ長いほど多くのリターンが得られる可能性が高まるのも事実です。

そこで今回は、リーマンショックの株価の動きを参考に暴落局面でも強さを発揮するであろう銘柄を紹介したいと思います。これらの銘柄は、たとえ暴落が起きなかったとしても、保有しながら定期的に買い続けるだけで安定してプラスリターンを期待できる投資先でもあるので、誰でも真似できる再現性の高い投資法になっています。

リーマンショックで市場平均株価はどう動いたか?

リーマンブラザーズが倒産したのが2008年9月でした。そのため、2008年のイメージが強いリーマンショックですが、直近の最高値は2007年10月に記録して、2007年10月からダウントレンドが始まっています。最終的に底を打ったのが2009年3月でしたので、約1年半もの期間、株価が平均して下がり続けたことになります。

・S&P500
年月 株価 状況
2007年10月 約1560 暴落前の最高値
   
2008年9月 約1200 リーマンブラザーズ倒産
   
2009年3月 約683 リーマンショック底値圏
   
 2013年4月 約1580  暴落前の最高値更新

S&P500は、リーマンショックで暴落前の高値から「-56%」を記録しました。

暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約4年2ヶ月」でした。

・NYダウ
年月 株価 状況
2007年10月 約14000 暴落前の最高値
   
2008年9月 約11420 リーマンブラザーズ倒産
   
2009年3月 約6626 リーマンショック底値
   
 2013年2月 約14000  暴落前の最高値更新

NYダウは、リーマンショックで暴落前の高値から「-53%」を記録しました。

暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約3年9ヶ月」でした。

リーマンショックで強かった銘柄を厳選して紹介

リーマンショックで市場平均よりも下落幅が少なかった銘柄の中から、現在でも将来有望と思われる銘柄をピックアップして紹介していきます。

銘柄ごとにリーマンショックでどういった株価の動きをしたか分かりやすく伝えるために、株価チャートと表を使って解説します。これを見てもらえれば、今回紹介する銘柄に関しては、意外にも株価は下落しなかったんだなってことを実感してもらえると思います。次の暴落局面でも冷静な投資判断をするために、活用してもらえたらと思います。

【今回紹介する銘柄】

アイ・ビー・エム(IBM)、コルゲート・パルモリブ(CL)、マクドナルド(MCD)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、コカ・コーラ(KO)、アボット・ラボラトリーズ(ABT)

・チャートの下落率は、最高値から底値までの最大下落率を計算して表記しています。

・アイ・ビー・エム(IBM) 

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオでも上位に位置する現役のバフェット銘柄です。AIのワトソンにも力を入れていますし、これからの時代に最適な鉄壁のディフェンシブ銘柄だと思います。連続増配年数は21年で、現在も増配記録を更新中です。増配が発表されるのは毎年4月あたりですので、2017年4月も増配されれば、22年連続増配ということになります。

IBMの筆頭株主はバークシャー・ハサウェイです。暴落局面でさらに買い増しを行う可能性あり、かなり強い値動きを示すと見ています。2017年1月時点のPERは15倍以下であり、まだ十分買える水準です。個人的には、ひたすらIBMを買い続けて配当再投資を継続するつもりでいます。

年月 株価 状況
2007年10月 約120 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年7月 約130 【IBM】暴落前の最高値
   
2008年9月 約124 リーマンブラザーズ倒産
   
2008年11月 約70 【IBM】暴落後の底値
   
2009年3月 約90 暴落後の底値(市場平均)
   
2009年12月 約130 【IBM】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 7.15 +17.0%
2008年 8.89 +24.3%
2009年 10.10 +13.6%
2010年 11.52 +14.1%

リーマンショックでは、4ヶ月ほどで「-47%」の最大下落率を記録しています。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約1年2ヶ月」でした。最大下落率が市場平均よりも小さく、他の銘柄と比べて株価の戻りが非常に速かったことが分かります。これはリーマンショックでも業績(EPS:1株あたりの利益)がほとんど沈むことなく、順調に成長を続けたことが要因です。

・コルゲート・パルモリブ(CL)

ジェレミー・シーゲル博士の「株式投資の未来」によると、過去55年間(1957年~2012年)配当再投資したときのリターンが年率14.64%でした。シーゲル銘柄の第4位に位置しています。日本人には馴染みのない企業かも知れませんが、歯磨き粉シェア世界一を誇り、インドの歯磨き粉におけるシェアは50%以上を占めています。52年連続増配中の配当王でもあります。

(参考:コルゲート・パーモリーブ(CL)は歯磨き粉に強みを持つ生活必需品企業)

年月 株価 状況
2007年10月 約76 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年1月 約82 【CL】暴落前の最高値
   
2008年9月 約75 リーマンブラザーズ倒産
   
2008年10月 約54 【CL】暴落後の最安値
   
2009年3月 約54 暴落後の底値(市場平均)
   
2009年11月 約87 【CL】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 1.60 +30.1%
2008年 1.83 +14.4%
2009年 2.19 +20.0%
2010年 2.15 −1.8%

リーマンショックでは、9ヶ月ほどで「-34%」の最大下落率を記録しています。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約1年2ヶ月」でした。最大下落率が市場平均よりも小さく、他の銘柄と比べて株価の戻りが速かったことが分かります。

ここ数年の業績は悪化傾向で、EPS(1株あたりの利益)も2012年をピークに減少傾向にあります。そのため、購入するのであれば時間をずらして少しづつ買い増していくのがいいと思います。

・マクドナルド(MCD)

今回紹介する銘柄の中で下落率が一番小さい銘柄です。リーマンショックでも業績がほとんど落ちずに成長し続けていたことが伺えます。39年連続増配中の実績を持つ銘柄でもあります。

年月 株価 状況
2007年10月 約60 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年8月 約67 【MCD】暴落前の最高値
   
2008年9月 約65 リーマンブラザーズ倒産
   
2008年10月 約46 【MCD】暴落後の底値
   
2009年3月 約50 暴落後の底値(市場平均)
   
2010年3月 約67 【MCD】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 1.98 −30.0%
2008年 3.76 +89.9%
2009年 4.11 +9.3%
2010年 4.58 +11.4%

リーマンショックでは3ヶ月ほどで「-21%」の最大下落率を記録しました。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約1年5ヶ月」でした。2013年をピークに売上高、EPS(1株あたりの利益)ともに減少傾向にあります。2017年1月のPERは20倍超えで割安とは言えませんが、時間を分散して少しづつ買い集めていく分には問題ないと思います。

・ジョンソンアンドジョンソン(JNJ) 

ヘルスケアセクターといえば、ジョンソン&ジョンソン(JNJ) が非常に有名です。54年連続増配中の実績を持つ配当王であり、間違いなく鉄板銘柄と言えるでしょう。

年月 株価 状況
2007年10月 約65 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年9月 約72

【JNJ】暴落前の最高値

リーマンブラザーズ倒産

   
2009年3月 約46

【JNJ】暴落後の底値

暴落後の底値(市場平均)

   
2013年1月 約74 【JNJ】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 3.63 −2.7%
2008年 4.57 +25.9%
2009年 4.40 −3.7%
2010年 4.78 +8.6%
2011年 3.49 −27.0%
2012年 3.86 +10.6%

リーマンショックでは約半年で「-36%」の最大下落率を記録しました。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約3年10ヶ月」でした。下落率がインデックスより低めなのはいいのですが、意外にも暴落前の最高値を更新するまでに市場平均と同じくらいの時間がかかっています。

2017年1月時点のPERは約20倍で、過去5年間の平均に近い数字になっています。2014年~2017年の株価チャートを見ると、1株110ドルのサポートラインがあるので、その付近で少し多めに買うのもアリだと思います。

・コカ・コーラ(KO)

バフェット銘柄としても有名な生活必需品セクターのコカ・コーラ(KO)です。誰もが知ってる飲料メーカーであり、圧倒的なブランド力を有します。54年連続増配中の実績を持つ配当王でもあります。

※2012年8月に1:2の株式分割を行っているため、この株価から2分の1すると現在の株価に換算できます。

年月 株価 状況
2007年10月 約60 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年7月 約65 【KO】暴落前の最高値
   
2008年9月 約50 リーマンブラザーズ倒産
   
2009年3月 約38

【KO】暴落後の底値

暴落後の底値(市場平均)

   
2010年12月 約65 【KO】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 1.28 +18.5%
2008年 1.25 −2.3%
2009年 1.47 +17.6%
2010年 2.53 +72.1%

リーマンショックでは1年3ヶ月ほどで「-42%」の最大下落率を記録しました。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約1年9ヶ月」でした。下落率はインデックスより少し低めで、暴落前の最高値を更新するまでにかかった時間は他の銘柄と比べて短かかったことが分かります。

2017年1月時点のPERは20倍超えとなっていますが、配当利回りが3%を超えてきています。ここ数年の業績が芳しくなく、今後の展開がどうなるかわからないため、購入するのであれば時間と株価を分散して、ちょっとずつ買い増していくのが賢明だと思います。

・アボット・ラボラトリーズ(ABT)

ジェレミーシーゲル博士の「株式投資の未来」で、過去55年間(1957年~2012年)配当再投資したときのリターンがフィリップモリスに次いで第2位のシーゲル銘柄です。2013年に新薬事業部門を分離独立させ、アッヴィ(AVVB)という会社が新たに設立されました。アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、45年連続増配中の銘柄でもあります。

(参考:配当貴族×ヘルスケア アボットを株価38.4ドルで購入【ABT】

年月 株価 状況
2007年10月 約55 暴落前の最高値(市場平均)
   
2008年1月 約61 【ABT】暴落前の最高値
   
2008年9月 約60 リーマンブラザーズ倒産
   
2009年3月 約45 暴落後の底値(市場平均)
   
2009年5月 約41 【ABT】暴落後の底値
   
2012年3月 約61 【ABT】暴落前の最高値更新

・年間EPS推移

EPS 前年比
2007年 2.31 +106.3%
2008年 3.12 +35.1%
2009年 3.69 +18.3%
2010年 2.96 −19.8%
2011年 3.01 +1.7%
2012年 3.72 +23.6%

リーマンショックでは約8ヶ月で「-32%」の最大下落率を記録しました。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約4年3ヶ月」でした。下落率がインデックスより低めなのはいいのですが、暴落前の最高値を更新するまでに市場平均より長い時間がかかったことが分かります。

2013年に新薬事業部門をアッヴィ(AVVB)に分社化しているため、実際に今後も同じリターンが得られるか不透明なのも気になります。

分社化といえば、ルイス・ガーズナーの「巨象も踊る」という本を思い出します。この本の内容を一言で言うと、IBMの経営不振は分社化を避けたことで復活できたというお話です。あのとき、IBMが分社化していたらバフェット銘柄にもなっていないでしょうし、AIのワトソンも開発されなかったかもしれません。IBMにとって、それくらい大きなターニングポイントだった出来事でした。

アボット・ラボラトリーズ(ABT)はセクターも全然違うため、この話がそのまま当てはまるか分かりませんし、分社化したことで逆に今後成長スピードが速まるかも知れません。分社化というものは、経営面においてそれなりのリスクがあることを認識したうえで保有すべきか見極めるといいと思います。

まとめ

・市場平均

銘柄 最大下落率 最高値更新に要した時間
NYダウ -53% 約3年9ヶ月
S&P500 -56% 約4年2ヶ月 

・紹介銘柄

銘柄 最大下落率 最高値更新に要した時間
IBM -47% 約1年2ヶ月
CL -34% 約1年2ヶ月
MCD -21% 約1年5か月
JNJ -36% 約3年10ヶ月
KO -42% 約1年9ヶ月
ABT -32% 約4年3ヶ月

これらの銘柄には、ある共通点があります。

その共通点とは連続増配銘柄であるということです。

配当は下落局面で株価下支えの役割を果たします。

特に、上記の連続増配銘柄は独自の強みを持って長期で成長を続けてきた企業ばかりなので、ちょっとやそっとの経済危機でも業績が悪化しづらい強みを持っています。

暴落局面では安全な投資先へと資金を避難させようとします。そして、利下げされたドルから配当のもらえる安定した業績の連続増配銘柄に資金が流れることもあります。

ここで大切になってくるのが、買い方です。一度にまとめて買うのではなく、時間または取得株価を一定間隔あけて少しづつ買い増ししていくことが重要です。こうすることで、どのタイミングで暴落が起きても含み損を最小限に抑えることができ、冷静に手持ちのキャッシュで割安になった株を買い増しすることができます。
また、暴落前はこういった銘柄に投資をし、暴落後に売り叩かれた激安銘柄に乗り換えるのも一つの手だと思います。

番外編
・金鉱株への投資

金(ゴールド)は暴落局面に強く、「有事の金」と呼ばれています。また、金(ゴールド)を生産する産金会社の株のことを金鉱株と呼びます。

金鉱株は、米ドルの金利が上昇する局面(利上げ局面)で下落しやすく、金利が下落する局面(利下げ局面)で上昇しやすい傾向があります。暴落が起きてリセッション入りすれば、アメリカの中央銀行(FRB)は米ドルの金利を下げて対処します。実際にリーマンショックのとき金鉱株の値動きがどうだったか、金鉱株のETF(GDX)のチャートを見ながら解説していきます。

・マーケット・ベクトル・金鉱株(GDX)

年月 株価 状況 金利
2007年10月 約51 暴落前の最高値(市場平均) 4.5%
     
2008年3月 約56 暴落前の最高値(GDX) 2.25%
     
2008年9月 約31 リーマンブラザーズ倒産 2.0%
     
2008年10月 約16 暴落後の底値(GDX) 1.0%
     
2009年3月 約30 暴落後の底値(市場平均) 0.25%
     
2010年9月 約56 暴落前の最高値更新(GDX) 0.25%

リーマンショックのときは、7ヶ月ほどで「-71%」の最大下落率を記録しました。暴落前の最高値を更新するのにかかった時間は、「約2年」でした。

この下落率を見る限り決して暴落に強いとは言えません。そして、利下げをスタートさせたタイミングが高値圏で、そこから利下げが続いているにも関わらず半年で-71%の暴落を記録しています。

このリーマンショックの値動きから、金鉱株は必ずしも暴落に強いわけではなく、利下げ局面でも株価は下がり続けることがあるということを学べます。

暴落に備えて金鉱株を買っているつもりでも、実は逆効果だったなんてこともありえるので、十分注意しなければなりません。

むしろ暴落により金鉱株が市場平均より大きく下落していたら、逆にそこで拾った方が多くのリターンを取れるかもしれません。

金鉱株を買うにあたって注意しなければならないことは、長期保有していれば株価の上昇が期待できるものではないということです。いずれ必ず売るという意識をもって保有することが大切なので、その点は気をつけていただきたいと思います。

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