投資期間が長くなればなるほど、アクティブファンドはインデックスファンドのパフォーマンスに負けやすいという科学的データがあります。
確かにこれは紛れもない事実で資産運用の最適解はインデックス投資であると結論づけるのは正しいです。
ただ一方で、インデックス投資にも弱点はあります。そこで、初心者にも分かるようにインデックス投資のメリット・デメリットを具体的に紹介します。
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インデックス投資のメリット
インデックス投資が手堅いと言われる理由のひとつに勝率の高さがあります。S&P500指数の年次リターンは、2014年~2023年の10年中7年がプラスでした。ドルベースで勝率7割という結果です。
年次リターン
期間 | S&P500指数 |
---|---|
2014年 | +12.39% |
2015年 | -0.69% |
2016年 | +11.24% |
2017年 | +18.42% |
2018年 | -7.01% |
2019年 | +28.71% |
2020年 | +15.29% |
2021年 | +28.79% |
2022年 | -19.95% |
2023年 | +24.73% |
平均 | +11.19% |
インデックス投資における勝率の高さは直近10年に限った話ではありません。過去の実績では年次リターンがマイナスになるよりプラスになる年のほうが圧倒的に多かったという事実があります。
このことから、インデックス投資は運用を長く続ければ続けるほど勝率が上がって、プラスリターンになる確率は高まると言えます。
- 長期的に運用すればプラスリターンになる確率が高い
インデックス投資のデメリット
資産運用の最適解とされるインデックス投資も100%完璧な投資法とは言えません。具体的に考えられるデメリットには次のようなものあります。
- 好景気が続くと割高な株価で購入せざるを得ない
- 仕事の収入減と暴落が同時に発生するリスクがある
- リセッション入りすると高確率で分配金が減配される
- 分配金利回りが低く長期的な含み損を抱えたときにつらい
好景気が続くと割高な株価で購入せざるを得ない
インデックス投資は個別株と違って割安な投資先を選べるほど選択肢がありません。好景気が続くと必然的に割高なバリュエーションで購入することになるため、長期リターンが低くなる傾向にあります。
一方、個別株なら好景気でも様々な要因で株価が低迷するため、割安な銘柄を探して投資することが可能です。
仕事の収入減と暴落が同時に発生するリスクがある
インデックス指数の株価は、実体経済と深く結びついています。リセッション入りして不景気になれば、会社の倒産やボーナスカットのリスクも高まります。
それと同時に、テレビやインターネット、外出先のニュースなどで株価情報が大体的に取り上げられ、インデックス指数の下落を目にする機会も多くなります。
そして追い打ちをかけるように配当を減配する銘柄が増え、インデックス指数の分配金が減配されるリスクも高まります。
S&P500 ETFの配当分配金
1993年以降のSPDR S&P500 ETF(SPY)配当分配金データは次のようになっています。
SPDR S&P500 ETF(SPY)
期間 | 1株あたり分配金 | 増配率 |
---|---|---|
1993年 | 1.134ドル | - |
1994年 | 1.227ドル | +8.20% |
1995年 | 1.278ドル | +4.16% |
1996年 | 1.355ドル | +6.03% |
1997年 | 1.377ドル | +1.62% |
1998年 | 1.416ドル | +2.83% |
1999年 | 1.445ドル | +2.05% |
2000年 | 1.505ドル | +4.15% |
2001年 | 1.424ドル | -5.38% |
2002年 | 1.498ドル | +5.20% |
2003年 | 1.630ドル | +8.81% |
2004年 | 2.197ドル | +34.79% |
2005年 | 2.149ドル | -2.18% |
2006年 | 2.446ドル | +13.82% |
2007年 | 2.701ドル | +10.43% |
2008年 | 2.721ドル | +0.74% |
2009年 | 2.177ドル | -19.99% |
2010年 | 2.266ドル | +4.09% |
2011年 | 2.576ドル | +13.68% |
2012年 | 3.103ドル | +20.46% |
2013年 | 3.351ドル | +7.99% |
2014年 | 3.836ドル | +14.47% |
2015年 | 4.206ドル | +9.65% |
2016年 | 4.539ドル | +7.92% |
2017年 | 4.802ドル | +5.79% |
2018年 | 5.101ドル | +6.23% |
2019年 | 5.619ドル | +10.15% |
2020年 | 5.691ドル | +1.28% |
2021年 | 5.718ドル | +0.47% |
2022年 | 6.320ドル | +10.53% |
2023年 | 6.633ドル | +4.95% |
SPDR S&P 500 ETF(SPY)の分配金データを見ると、ほとんどすべての年で増配されているのが分かります。1993年以降、減配されたのは2001年、2005年、2009年の3回だけでした。
1993年以降リセッション入りしたのはドットコムバブル、リーマンショックの2回です。うち2回とも分配金は減配されました。
好景気が続くと忘れられがちですが、インデックス投資はリセッションが起きたら高確率で減配されることを覚悟しておく必要があります。
分配金利回りが低く長期的な含み損を抱えたときにつらい
21世紀に入って以降、リセッションの頻度、期間ともに減少傾向にあります。しかし、今後もこれまでと同じ傾向が続く保証はどこにもありません。
過去の歴史を振り返れば、近年と比べ物にならないくらいの頻度でリセッションが発生し、不況が長期化した時代もありました。
インデックス投資の分配金利回りは、ただでさえ低いです。それがリセッションでさらに減配されることになったら、雀の涙ほどの分配金しか受け取れなくなってしまいます。
不況が長引いてインデックス指数が伸び悩む状況が続くと、精神的に苦しくなって投げ売りしてしまう人が出るのは過去の経験則からも言えることです。
連続増配銘株はインデックス投資のリターンを上回る
配当貴族指数、配当チャンピオン、配当王は不況に強い特徴があり、株価の下落耐性を備えています。そのうえ、リセッション入りして株価が下がっても増配は継続します。
しかも、連続増配株のトータルリターンはS&P500指数を長期的に上回ってきた実績があります。
毎年の増配が運用を続ける精神的サポートとなり、結果として投資を継続しやすい状況を作れるのがメリットです。
目的に合わせて最適な投資法を選ぼう
残念ながら100%完璧な投資法というものは存在しません。個々の目的やリスク許容度に応じて、最適な投資法を選ぶことになります。
今回紹介したようにインデックス投資にも弱点があることを理解しておくだけでも、いざというとき落ち着いて行動できる確率を上げることができます。
配当きぞくん
心の準備が大切じゃな。
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