過去の暴落は政策金利が何%のときに起きたのか

2017年3月15日(水)のFOMCで利上げが実施され、マーケットは本格的な金利上昇局面に入りました。今後は大きな暴落が起きない限り、2019年まで年3回ペースで0.25%ずつの利上げが行われる見通しです。

過去の歴史を振り返ると、株式市場の暴落というのは政策金利が高いときに起きてきました。そこで今回は、米ドル政策金利の観点から過去の事例を踏まえて暴落が起きやすい条件を考察したいと思います。

過去の暴落からみる政策金利

過去の米国株式市場の暴落は政策金利(FFレート)が何%のときに起きたかを以下にまとめました。(1929年の世界恐慌は、当時のデータを見つけることができず載せることができませんでした。)

年月暴落名暴落開始時の金利
1973年1月ニフティフィフティ5.94%
1987年9月ブラックマンデー7.22%
2000年9月ITバブル6.52%
2007年6月リーマンショック5.25%

(参考:Effective Federal Funds Rate)

これら4つの暴落が起きたときの平均金利は、6.23%でした。

偶然か必然か分かりませんが、どれも政策金利が6%前後のときに株式市場の暴落が始まっています。2017年3月24日時点の政策金利は1.00%ですので、暴落が起きるにはまだまだ金利が低いと言えるかもしれません。

利上げ開始時と終了時の金利

次に利上げ開始時の金利と利上げ終了時の金利を暴落ごとにまとめました。

暴落名利上げ開始時利上げ終了時
ニフティフィフティ3.29%10.78%
ブラックマンデー5.85%7.29%
ITバブル4.63%6.51%
リーマンショック1.00%5.25%

(参考:Effective Federal Funds Rate)

金融危機などで株式市場が暴落したときは、一般的にFRB(中央銀行)が政策金利を引き下げることで対応します。しかし、ニフティフィフティに関しては、株式市場が下落し始めた後も政策金利が上昇していたようです。

それに対し、ブラックマンデーとITバブル、リーマンショックでは、暴落開始時の金利と利上げ終了時の金利が一致しています。市場平均株価の下落と金利引き下げタイミングが近いことからも、FRBの対応が迅速だったことが伺えます。

暴落までの金利上昇幅

リーマンショック以降、FRBはゼロ金利政策により米ドルの政策金利を0.25%まで押し下げました。このことは歴史上きわめて異例の出来事であり、過去の政策金利(FFレート)のデータを見るに、ゼロ金利政策からの利上げというのは前例のない初の試みのようです。

過去の利上げ開始時の金利に着目すると、どれも1.00%以上の水準でありゼロ金利政策からの利上げとはかなり状況が異なります。そこで、利上げ開始時の金利から何%の上昇で暴落が起きたのかに焦点を当ててデータをまとめてみました。

暴落名暴落までの金利上昇幅
ニフティフィフティ2.65%
ブラックマンデー1.44%
ITバブル1.89%
リーマンショック4.25%

利上げ開始時の金利が低ければ低いほど、見事に暴落までの金利上昇幅が大きくなってます。

今回の利上げは0.25%からスタートしていますので、暴落までの金利上昇幅がリーマンショックのときの4.25%よりも大きくなると考えたいところです。しかし、FRBがあと3.50%も政策金利を引き上げるには数年単位の時間を要することは間違いないので、それまで暴落が起きないと考えるのは楽観的過ぎるのではないかと思います。

利上げ開始から暴落までの時間

暴落名利上げ開始から暴落までの時間
ニフティフィフティ1年0ヶ月
ブラックマンデー1年0ヶ月
ITバブル1年9ヶ月
リーマンショック3年1ヶ月

利上げ開始から暴落までの時間は、平均1年8ヶ月程度でした。

利上げ開始から暴落までの期間がリーマンショックだけ突出して長くなっています。これは利上げ開始時の政策金利が他の暴落と比べて、低いのが原因なのではないかと思います。

まとめ
・ニフティフィフティ

・ブラックマンデー

・ITバブル

・リーマンショック

2008年12月以降、リーマンショックにより7年間も政策金利0.25%が維持されてきましたので、2017年3月のFOMCで1.00%に利上げされたと聞くとずいぶん上がったように感じます。

ですが、1.00%の政策金利というのは歴史的に見ると、かなりの低金利です。

2017年~2019年は年3回ペースで0.25%ずつ政策金利を上げていく見通しとなっているので、2019年末の政策金利は3.0%まで上昇する予定です。

【2017年3月15日発表のFFレート見通し】

・2017年末:1.4%

・2018年末:2.1%

・2019年末:3.0%

過去の4回の暴落が起きたときの政策金利は平均6.23%でした。したがって、このままのペースで順調に利上げが行われたとしても2019年末時点で平均6.23%の半分にも満たない金利までしか上がらないことになります。

利上げ開始から暴落までの時間は、平均1年11ヶ月です。今回は最初の利上げが2015年12月でしたので、2017年3月で1年3ヶ月ほどしか経過しておらず、金利自体も0.75%しか上昇していません。

また、今回の利上げに最も近い条件は、利上げ開始時の金利が1.00%と低いリーマンショック前の利上げで、暴落までには利上げ開始から3年1ヶ月の時間がかかっています。

以上より政策金利の観点から考えると、本格的な暴落が起きるのは、まだ先になる可能性が高いのではないかと思います。

おまけ

リーマンショックでの暴落開始時の政策金利は5.25%で、暴落までの金利上昇幅が4.25%でした。今回の利上げはゼロ金利政策により0.25%からスタートしているので、リーマンショック前の利上げ開始時1.00%よりも低くなっています。

上記4つの暴落を比較すると、利上げ開始時の政策金利が低ければ低いほど、暴落開始時の政策金利が低く、暴落までの金利上昇幅が高くなっているという規則性がありました。

次の暴落が起きる時期を探るために、リーマンショックのときの暴落開始時の政策金利5.25%より低く、金利上昇幅4.25%よりも高い条件を計算してみたところ、これら2つの条件が重なるのは2パターンしかありませんでした。

利上げ開始時の金利暴落までの金利上昇幅暴落開始時の金利
0.25%4.50%4.75%
0.25%4.75%5.00%

FRBが政策金利を5.00%近くまで上昇させ続けることは現段階では考えにくいですが、この水準まで政策金利を引き上げるとなると、到達するのは2022年より後ということになります。

もし政策金利が5.00%近くになるまで暴落が起きないとなれば、今から少しづつ米国株を購入していった方が最終的なリターンは確実に高くなります。

一方で、時間やPERといった観点から暴落について考えると、2022年まで順調に株価が上昇を続けるとは考えにくいと感じます。最終的に暴落がいつ起きるかなど誰にも分からないので、米国株式市場が割高な状況では、暴落がいつ起きてもいいように、時間と株価を分散してディフェンシブ銘柄を少しづつ購入するのが最も高いリターンが見込める投資方法なのではないかと思います。

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