ひろめ
グラクソスミスクライン(ディッカーシンボル:GSK) は、イギリスに本社を置くグローバル製薬企業です。ニューヨーク株式市場にも上場しており、ADR(米国預託証券)としてドル建てで株式を購入することができます。実はあのバフェット率いるバークシャー・ハサウェイも過去にGSKの株式を保有していたことがあります。
イギリスのADRは米国株のように配当の現地課税がないため、配当の二重課税がありません。グラクソスミスクライン(GSK)は、高配当銘柄でもあるので、二重課税がないのはかなり大きなメリットです。
気になって調べていくうちにグラクソスミスクラインが配当狙いの銘柄に適していると感じたので、その理由をまとめていこうと思います。
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世界有数のグローバル製薬企業
グラクソスミスクラインの事業は、医薬品部門、ワクチン部門、ヘルスケア部門の3つに分けられています。売上高のウエイトが最も高いのが医薬品部門で、約60%を占めています。
地域別売上高は、グローバル企業らしく世界全体に分散されています。バランスが取れていますね。どこか特定の国や地域に大きく依存しているわけではないので、世界全体の人口増加とともに安定した成長が期待できます。
2016年の製薬会社売上高ランキングは世界第5位です。ちなみに、米国株でおなじみジョンソンエンドジョンソン(JNJ)は、同7位でした。グラクソスミスクラインの方が売上高が上回っています。
【GSK】グラクソスミスクラインのEPSと配当性向
2007年~2016年のEPS(1株あたりの利益)と配当性向は、以下のようになっています。なお、EPSおよび1株配当は、イギリスポンドでの表記となっているので注意してください。ADRの配当として支払われるものは、以下の1株配当からUSドルに換算した金額になります。
1株利益(EPS)は安定感がありません。ですが、1株配当は安定しています。毎年増配とはいかないまでも、長期で少しづつ配当が増えています。リーマンショックの影響で株価が急落した2009年でもEPSは下がっておらず、ヘルスケアセクターらしい不況に対する強さが見られます。
年 | EPS | 1株配当 | 配当性向 |
---|---|---|---|
2007年 | 1.88 | 1.02 | 54% |
2008年 | 1.76 | 1.13 | 64% |
2009年 | 2.16 | 1.20 | 56% |
2010年 | 0.64 | 1.29 | 202% |
2011年 | 2.14 | 1.35 | 63% |
2012年 | 1.80 | 1.47 | 82% |
2013年 | 2.21 | 1.56 | 71% |
2014年 | 1.13 | 1.60 | 142% |
2015年 | 3.45 | 1.57 | 46% |
2016年 | 0.37 | 1.55 | 419% |
配当性向が100%を超えても毎年1.5ポンド前後の配当を出すところに株主還元姿勢の高さが見て取れます。これは高く評価すべきところです。
たとえ1年ごとのEPSにバラつきがあっても、売上高は安定しています。これが安定した配当を継続できる秘密と言っていいでしょう。長期保有する価値は十分あります。
2016年はEPSが急激に落ち込んだため、配当性向が400%を超えています。これは一時的なもので、2017年に入ってからは回復傾向にあります。過去の年間EPSは、1.5~2.0ドルくらいが普通でした。売上高が非常に安定しているので、再び元のEPSに戻るのは時間の問題だと思います。
長期格付けは、S&PがA+(上から5番目)、ムーディーズがA2(上から6番目)と高い水準を維持しています。
格付け会社 | 格付け |
---|---|
S&P | A+(上から5番目) |
ムーディーズ | A2(上から6番目) |
為替レートで配当利回りが変化する
ポンドドルの20年長期チャートです。近年はイギリスがEUを離脱するブリグジットなどもありポンド安が続いています。
チャートを確認すると、ブリグジットのときは1ポンド=1.2ドルで反発しています。
ポンド安になればなるほどドル建て配当利回りが低下します。逆にポンド高になると配当利回りは上昇します。
ポンド安になると配当利回りが下がってしまいますが、あまり気にする必要はありません。なぜなら、ポンド安はドル建ての株価に対してプラスに作用するからです。配当利回りが下がっても、そのぶん株価が上昇しやすくなるということです。トータルリターンで考えれば為替レートはそこまで大きな影響がないと認識してもらっていいと思います。
【GSK】グラクソスミスクライン(ADR)株価チャートの分析
以下は、1997年8月~2017年8月までの20年分のチャートです。
チャートを見てもらうと分かる通り、38ドル付近に強力なサポートラインがあります。過去20年で8回も反発していてかなり意識されています。そして、過去20年で38ドルのサポートラインを割ったのは、たった5回しかありません。
38ドルの次は32ドルがサポートになります。最も下落したリーマンショックですら、28ドル代で折り返しています。したがって、38ドル~40ドルが配当利回りも高く、一番買いやすいタイミングだと考えて、私は39.0ドルで250株購入しました。
参考 【GSK】グラクソスミスクライン250株@39.0ドルで新規購入
【GSK】グラクソスミスクラインの銘柄分析まとめ
ヘルスケアセクターのグラクソスミスクライン(GSK)は、不況にも強い高配当なディフェンシブ銘柄です。景気サイクルの最終段階である利上げ局面では、万が一の暴落に備えてこうした銘柄に投資するのが賢明な選択のひとつと言えます。
そして何より、配当の二重課税がないのが日本の個人投資家にとって大きいです。NISA枠で購入すれば、配当はもちろん含み益も非課税になります。安定したインカムゲイン狙いに適したディフェンシブ銘柄だと私は思います。
【米国株】個別銘柄一覧









【ADR】個別銘柄一覧



